生成AIでイラストを作る人が増え、文化庁も令和6年3月に「AIと著作権に関する考え方について」をまとめました。便利さの一方で、自分の作品を公開・販売してよいのか、既存の作品と似ていないか、立ち止まる場面も増えています。その一枚に、人間の創作的寄与はどこまで認められるのか?この記事を読むと、著作権が生じる条件と、学習段階・生成段階で判断がどう変わるかが分かります。さらに、商用利用の可否を分ける利用規約・類似性・依拠性という確認点を押さえ、公開や販売の前に何を確かめればよいかを判断できます。
この記事は、総合解説「AI著作権は文化庁の考え方でどう整理?学習と生成の2段階」の詳細編です。全体像はそちらをご覧ください。
この記事の要点
(最終更新:2026年9月28日)
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AI画像の著作権は誰にある?人の創作的寄与で変わる基本
図:AI画像の著作権判断:創作的寄与の有無(出典:[1][2][6])
AIが描いたイラストに著作権が生じるかどうかは、AIを使ったかどうかではなく、人間がどれだけ創作に関わったかで判断されます[1][6]。文化庁の整理では、著作物とは「思想又は感情を」「創作的に」「表現したもの」で、文芸・学術・美術・音楽の範囲に属するものを指します[2]。逆に、単なる事実の記載やありふれた表現、表現ではないアイディア(作風・画風など)は保護の対象になりません[2]。
著作権法では、著作物を創作した時点で著作者が自動的に権利を得るとされています[2]。そのため、AI画像についても、人間の創作的寄与が認められる部分があれば、その部分について著作権が発生し得るという考え方です[1][6]。どこまで人間が関与したと言えるかは、指示の内容や修正の過程などを踏まえて個別に検討されます[1]。

一方、AIが自律的に出力しただけの画像は、人間の創作的寄与が乏しいとされ、著作物として認められない可能性があります[1][6]。この判断は、プロンプト(AIへの指示文)を入力しただけなのか、生成後に人が描き加えたのかといった関わり方の違いによって変わってきます[6]。
文化審議会 著作権分科会 法制度小委員会は令和6年3月に「AIと著作権に関する考え方について」をまとめ、判例や裁判例の蓄積がない現状を踏まえた整理を示しました[1]。AI画像の権利をめぐる線引きは、あなたの日々の制作の手触りそのものに委ねられているのかもしれません。
AI画像生成の著作権侵害は、学習段階と生成段階で何が違う?
図:AI画像生成と著作権の検討段階(出典:[1][2])
AI画像生成と著作権を考えるとき、学習段階と生成・利用段階を分けて検討することが必要です[1][2]。文化庁の資料でも、AIと著作権が関係する場面にはいくつかの異なる段階があり、段階ごとに検討する必要があるとされています[1][2]。
学習段階については、著作権法第30条の4などの柔軟な権利制限規定が関係します[1]。平成30年の著作権法改正により、著作物の市場に大きな影響を与えない利用については、相当程度柔軟性を確保する形で権利制限規定が整備されました[1]。この規定は、AI開発・学習段階における著作物の利用を円滑化する趣旨を含むものです[1]。

一方、生成・利用段階では、生成された画像が既存の著作物と同一または類似しているかという類似性と、既存の著作物に依拠して生成されたかという依拠性の両方を満たす場合に、著作権侵害となるとされています[2]。類似性の判断では、他人の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得できるかが問われます[2]。アイディアやありふれた表現が共通するにとどまる場合は、類似性は否定されます[2]。
つまり、学習段階では権利制限規定により許容される範囲が広く、生成・利用段階では類似性と依拠性という侵害要件に照らして個別に判断されるという違いがあります[1][2]。同じAI画像生成でも、どの段階に着目するかで法的な評価の枠組みが変わるのです。
自分のAI画像を商用利用しても大丈夫?判断を分ける3つの確認点
図:商用利用の判断を分ける3つの確認点(出典:[1][3][6][7])
自分のAI画像を商用利用してもよいかは、一律には決められません。文化庁は、生成AIと著作権の関係について、判例や裁判例の蓄積がない現状を踏まえて考え方を整理し、「AIと著作権に関する考え方について」を令和6年3月に取りまとめました[1]。判断が分かれるのは、利用の場面ごとに確認すべき点が異なるためです。
第一に、利用する生成ツールの利用規約です。商用利用の可否や権利の帰属は、サービスごとに条件が変わりやすく、確認が欠かせないとされています[3]。規約を確認せずに販売や広告に使うと、後からトラブルになりやすいという指摘があります[3]。

第二に、既存の著作物との類似性です。生成物が既存の作品と似ている場合、著作権侵害が問題になり得ます[7]。類似しているかどうかは、生成の指示内容や出力の見た目を個別に見て判断することになります[7]。
第三に、依拠性です。依拠性とは、既存の著作物を元にして作られたと言えるかどうかという考え方です[6]。生成AIの仕組みや指示の出し方によって、この点の評価が変わり得ます[6]。
商用利用の可否は、これらを案件ごとに確かめることで初めて見えてきます。あなたの手元にある一枚も、誰かの作品と重なる可能性をまだ秘めているかもしれません。
AIイラストに著作権がないと言われるのはなぜ、どこまで本当か
図:AIイラストの著作権判断の流れ(出典:[5][6])
「AIイラストには著作権がない」という言葉を目にしたことはないでしょうか。この言い方が生まれる背景には、著作権法が守る対象の考え方があります。著作物として保護されるには、思想または感情を表現したものであり、創作性があり、文芸・学術・美術・音楽の範囲に属することが必要とされています[6]。AIが自動で出力しただけの画像は、人の創作的な関与が乏しいと見られやすく、権利が発生しないと説明されることがあります[6]。
一方で、この理解はすべての場合に当てはまるわけではありません。人がプロンプトを工夫したり、生成後の画像を選び、修正や加筆を重ねたりした場合には、人の創作性が認められ、何らかの権利が認められ得るという見方があります[6]。つまり「AIイラストだから一律に権利がない」と断定できるものではなく、関与の度合いによって判断が変わり得るということです[6]。

また、AI生成物に著作権を認めること自体に慎重な意見もあります。生成は手描きより速いため、権利を広く認めると構図やポーズの先取りが進み、手描きで描ける表現の幅が狭まりかねないという懸念が示されています[5]。学習元への利益還元がないまま権利主張が広がることへの違和感も語られています[5]。
制度も解釈も発展途上の段階にあり、どのような関与があれば権利が認められるかは、今後の議論や判断の積み重ねに委ねられる部分が大きいと言えます[6]。あなたが日々の制作でどこまで手を加えているかが、この問いを考える手がかりになるかもしれません。
公開や販売の前に、あなたが今日確かめるべき手順は何か
公開や販売の前に、まず確認したいのは、生成AIと著作権の関係が段階ごとに検討されるという考え方です[1][2]。文化庁は、AIの開発・学習段階と、生成・利用段階を分けて整理しています[2]。あなたがイラストをSNSに投稿したり、商品として販売したりする行為は、このうちの生成・利用段階にあたります[2]。
文化庁は、AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンスを公表しています[1]。これは、AI開発者や権利者など、立場ごとに望ましい取組みを紹介するものです[1]。販売や商用利用を考える場合も、この資料で自分の立場に近い項目を確認することが手がかりになります[1]。

著作権侵害かどうかは、既存の著作物との類似性と、それに依拠したかどうかの両方で判断されるとされています[2]。類似性は、表現上の本質的な特徴を直接感得できるかで見られ、アイディアやありふれた表現が共通するだけでは否定される例が多いとされています[2]。依拠性は、既存の著作物に接してそれを用いたかで判断され、独自創作であれば否定され得るとされています[2]。
利用規約の確認も欠かせません。商用利用の可否や権利の帰属は、サービスごとに条件が変わりやすいとされています[3]。生成ツールの規約と、権利帰属の記載をあわせて確認しておくことが実務上の出発点になります[3]。
道具を手にした瞬間から、その使い方をめぐる線引きは自分の側に置かれるのだと感じます。
編集長の眼
「AIイラストに著作権はない」という言葉は、半分は正しく、半分は乱暴です。文化庁の整理が示すのは、AIを使ったかどうかではなく、人がどこまで創作に関わったかという一点でした[1][6]。これは、料理でいえばレシピを入力しただけなのか、味を見て手を加えたのかという違いに近いものです。私たちはつい「AIか人間か」という境界線を探したくなりますが、実際に問われているのは関与の濃さだという点は、少し拍子抜けするほど地味な結論です。だからこそ、今日できることは派手ではありません。使っているツールの規約を開き、商用利用と権利帰属の記載を確認する[3]。投稿や販売の前に、既存作品との類似性と依拠性を自分の目で見直す[2][6][7]。そして文化庁のチェックリストで自分の立場に近い項目を拾う[1]。制度も解釈も発展途上だからこそ、判断を誰かに丸投げせず、手元の一枚ごとに確かめる習慣が、結果として自分と他者の双方を守ることに繋がるのだと考えます。
あなたのAI時代適応度は?
3分で診断・具体的なロードマップを提示
よくある質問
Q. AIで作った画像をSNSに投稿するだけでも著作権侵害になりますか?
投稿行為は生成・利用段階にあたり、既存の著作物との類似性と依拠性の両方を満たす場合に著作権侵害となるとされています[2]。類似性は表現上の本質的な特徴を直接感得できるかで判断され、アイディアやありふれた表現が共通するにとどまる場合は否定される例が多いとされています[2]。投稿だから一律に侵害、というものではありません[2]。
Q. AIイラストを販売しても著作権的に問題ないのでしょうか?
一律には決められません。まず利用する生成ツールの利用規約で商用利用の可否や権利帰属を確認することが欠かせず、規約を確認せず販売すると後からトラブルになりやすいとされています[3]。加えて既存の著作物との類似性[7]と依拠性[6]を案件ごとに確かめる必要があります。文化庁のチェックリスト&ガイダンスも手がかりになります[1]。
Q. AI画像生成の学習段階と利用段階で何が違うのですか?
学習段階では著作権法第30条の4などの柔軟な権利制限規定が関係し、平成30年改正で市場に大きな影響を与えない利用について相当程度柔軟性を確保する形で整備され、AI開発・学習段階の利用を円滑化する趣旨を含みます[1]。一方、生成・利用段階では類似性と依拠性の両方を満たす場合に著作権侵害となるとされています[2]。段階ごとに評価の枠組みが変わるのです[1][2]。
関連する記録
出典・参考資料
- AIと著作権について | 文化庁(参照日:2026年9月28日)
- 93903601_01.pdf(参照日:2026年9月28日)
- 【2026年版】AIイラストの著作権はどうなる?侵害になるケースと安全な使い方を徹底解説(参照日:2026年9月28日)
- AIイラストに著作権を認めてはいけない理由(参照日:2026年9月28日)
- AI生成物に著作権はある?生成AIと著作権法の関係をわかりやすく解説|著作権弁護士 虎ノ門法律特許事務所(参照日:2026年9月28日)
- 生成AIの著作権侵害|訴訟リスクを回避する3つの必須対策(参照日:2026年9月28日)
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記事監修: 鈴木隆文
この記事は、公開されている一次資料・報道をもとにAIが下書きを作成し、編集部が内容を確認して公開しています。誤りにお気づきの場合は、お問い合わせフォームからご連絡ください。
